魅惑への助走
 「こらこら。武石さん、だめですよ」


 再度の勧誘を察知した榊原先輩が、私たちの間に割って入ってきた。


 「そんな汚いものを見るような目で見ないでくださいよー、榊原さん。この子絶対売れっ子になりますって」


 構わず武石さんは、先輩に力説する。


 「榊原さんの後輩ってことは、名門大卒じゃないですか。高学歴のAV女優ってまだそんなに多くないから、そこも狙い目ですよマジで」


 「だけどね武石さん、この子はほんのさっきまで、AV業界とは無縁な世界で生きてきた子だから」


 榊原先輩はフォローしてくれたけれど、


 「自分より高学歴・高収入で、昼は全く頭の上がらない女。そんな女を夜、ベッドの上で思うがままにしたいって欲望を抱く男、多いですから。絶対明美ちゃんは人気が出ますよ」


 武石さんは引き下がらない。


 「明美ちゃん、念のため聞くけど。まさかAV女優になってみたいだなんて思ってないよね?」


 先輩に単刀直入に尋ねられた。
< 55 / 679 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop