魅惑への助走
 上杉くんは見た目はまあまあで背も高かったけど、派手なタイプでも花形部で活躍しているわけでもなかったので。


 トータル的には地味な部類だった。


 あと印象に残っているのは。


 私が「武田」で、あちらが「上杉」くん。


 「おっ、戦国武将コンビだな」と日本史の先生にからかわれたことがあった。


 あと席替えをした時。


 私と上杉くんの間に、二人の生徒がいたのだけど、その二人がたまたま「川中」くんと「中島」さん。


 同じ日本史の先生に、「ちょうど川中島の戦い状態だな」って言われたことも。


 別に直系の子孫ってわけではないものの、二人とも有名な戦国武将と同じ名字なので、掃除のグループなどが一緒になると周囲に勝手にコンビ扱いされたりした。


 その都度笑って過ごしつつ、何気なく高校生活は過ぎていった。


 卒業後は特に、接点もないまま。


 同じように東京の私大に進学したのに、連絡先を教え合ったわけでもなく。


 高校時代、たまたま上杉って名字の人が同じクラスにいた、くらいの記憶しか残っていなかった。
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