スリーアウトになる前に。
雨の降らなかった土曜日。何人か来ている女の子達のレベルはバラバラで、楽しげにワイワイとボールを蹴っている。これならブランクあっても平気そうかなとホッとしてみる。

私は一番うまい真奈ちゃんとペアを組んで練習させてもらった。

「もしかして亜由美さんも沢田さんの魔の手にかかった感じですか?」

大学の先輩後輩関係だと伝えると、真奈ちゃんにこそっと聞かれた。

「え?」

「超強引ですよね、熱いっていうか。私何度か断ったんですよ」

魔の手? 超強引?

「女子なら誰でもいいのかと思うとそうでもなくて、うまくおだてて来るところが憎いですよね」

ええ?
彼、そういうタイプじゃないよね? あ、でもベッドもセミダブルだったし女の子連れ込むの前提の部屋だったり?

ていうか、見かけによらずあなたずいぶんあっけらかんとしてるのね? 今の若い子ってこんな感じ?

そうかと思えば、休憩時間に真奈ちゃんは若いイケメンくんと話してて、沢田くんに「そこ、イチャつくな」とつっこまれている。いったいどういう関係?



練習の後みんなで飲みに行こうという話になっていたけれど、何かいろいろ勘繰って疲れるのも嫌だな。

さすがにまた酔っぱらってるのとか見せたくないし、ここは帰ることにするか。

沢田くんに「ごめん、今日は帰るね」とさらっと告げて、「また来てくださいねー」とみんなに見送られて歩き始めた。


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