公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

私の家、エリオローネ辺境伯の領地は、プリオールセンという地名で呼ばれている豊かな土地だと彼に教わった。

隣国に攻め込まれて領土を奪われてしまったが、辺境伯と共に戦ったアクベス侯爵がその侵攻を半分で食い止めてくれたという話も。

プリオールセンの半分は隣国の支配下に置かれ、残りの半分は消滅したエリオローネ家に代わって、アクベス侯爵が管理しているそうだ。

それを聞いても、領地のことに関心を向けない私を見て、ジェイル様は『取り戻したいと思わないのか?』と言ったのだ。


もうひとつ、思い出したことがある。

胸にバラを刻んだ夜、ジェイル様とオズワルドさんの会話を立ち聞きしていたら、こんな言葉を聞いてしまった。


『クレアを妻にしたら……の大義名分ができるだろう』


肝心な部分が聞こえずに歯がゆい思いをしたが、オズワルドさんの忠告を聞いた今なら分かる気がする。

私を妻にしたら、辺境伯領を取り戻すための戦を仕掛ける、大義名分ができるのだ。

ジェイル様は気まぐれではなく、心から私を妻にしたいようだ。

それは豊かな辺境伯領を、己の領地としたいため……。


< 214 / 363 >

この作品をシェア

pagetop