今度産む
だからその週末、オレは合コンに参加した。
といっても、それはあくまでも口実にすぎなかった。
なぜなら、合コンも浮気のうちに入るなら、その時二桁をゆうに超す裏切り行為を働いていたから。
感覚が麻痺していたんだと思う。
彼女が浮気のひとつやふたつ仮に知ったところで離れていかないと思っていた。
我がごとながら思い出したくないくらいのクズっぷりに反吐が出そうだ。
「君、かっこいいね」
その日の合コン相手はいわゆる二十代半ばのOLさん、つまり自分たちより年上の女性。
こっちの幹事は顔が広くてしかもイケメン。家は金持ち。
そんなヤツがつれてくる相手のコたちは当然、レベルに不足はない訳で。
宴もたけなわ、飲み放題コースの九十分もそろそろ終盤にさしかかった頃。
最初に座っていた場所からは思い思いに場所をかわっていた。
参加者の中でも一番イケてた女が隣に座っていて、あからさまなアピールをしてきた。
台詞はもちろん、瞳(め)でもオレのことを誘っていたことは誰の目にも明らかだった。
オレたちはそのまま夜の街に消えた。