ねぇねぇ、聞いて。
お母さんが夕食の準備をしてみんなで食卓を囲む。


久しぶりだな。


「「「いただきます。」」」


3人の声が聞こえる。


ちょっと前までは二人の声しか聞こえなかったのに。


私は椅子にちゃんと座り直してお父さんとお母さんの顔を見た。



「あの、お父さん。お母さん。私、言いたいことがあって。」


「うん。どうした?」


お父さんがはしを止めて私を見る。


「あの、私ね。・・・・・・・ずっとおばあちゃんの家にいたいの。この家が、嫌いなんじゃない。でも、あっちには大切なものや人が増えたの。そして、・・・・・・・私を変えてくれた。」


そこまで言うとお父さんとお母さんは顔を見合せた。


「仁華がそう言うことは分かってたよ。でも、一つ解決してないんじゃないかな?」


お母さんが言った。


「うん。知ってる。・・・・・いじめてきた奴らに言いたいことがあるの。それを言ったら、戻りたい。だから、・・・・・・・お願いします。私、あっちに住みたいんです。」


私は頭を下げた。


「・・・・・・・・・・そうか。なら、全部解決したら戻ってもいいよ。」


お父さんのその言葉に私は顔を上げた。


「ほん、と?お父さん。」



「嘘を言ってどうする。本当だ。ただし、迷惑かけないようにしなさい。それと、無理はしないように。」


「・・・・・・うん。ありがとう。」

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