ドキッ!? 気になる彼と禁断×××生活!【強制完結】
「これ、使って?」
男の声に、体がビクリと反応する。
でも、想像よりもずっと優しい声。
目を開けると、白いかたまりが目の前にあった。
タオルだ。
「ありがとう、ございます」
体を縮めたまま、腕だけ伸ばして受けとる。
やわらかくて、あったかい。
ぎゅっと抱きしめ、顔をうずめる。
ふわりと、肩にもタオルがかけられた。
あ、ダメだ。
今、人の優しさに触れたら、私はダメになる。
涙をこらえる。
この人が、どういう意図かは分からないけど、見ず知らずの私に、こんなに優しいのは、何か裏がある。
甘えては、ダメだ。
とは、分かっているのに、絶望の中に差し出された手に、すがってしまう。
その人は、縮まって動かない私の横に座り、私の髪を拭き始める。
まるで、子どもころお母さんに拭いてもらった時みたいに優しくタオルが頭をなでていく。
頭に浮かんだ、お母さんという単語と、相手の優しさに、ついに私の感情のダムは決壊した。