魔王木村と勇者石川



けれど、蛍はそこに不満と否定の声を上げる。
 
 
「いやいや、そうでもなくてだなだな。早本くんは警備ちょっと最近忙しいみたいで奥にいる私とは会わないし、弦野くん厨房にこもってるし、冬城くんはどこに隠れてるのか見つからないしいいいいい」
 
「……ごめん」
 
 
最後はちょっと泣きそうだった蛍に、申し訳なさがこみ上げた迷だった。
 

と、そのときだ。
 
後ろから、久しぶりな声が聞こえてきたのは。
 
 
「やあ、邪魔をする。」
 

そう言って管理スペースに入ってきたのは石川くんだ。
 
どうやら読書をしに来たらしい。
 
仕事現役の頃はちょくちょく来てはここで読んで行っていた。
 

けれど、引退してからはここに来ることはほとんど無かったのに、というか、無かったのに!!
 
 
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