同居人は国民的アイドル
明るい室内。
その中央にあるソファーで、携帯をいじっている後ろ姿。
「た、ただいま!」
声をかけると、廉くんがゆっくりと振り返る。
「あー、おかえ…………」
廉くんの目が見開かれる。
視線の先は、私の髪の毛。
「…………切った?」
き、気づかれた!!
いや、こんなにばっさり切ったから気づかないわけがないんだけど!!!
ド直球すぎる質問に、逆に心臓がドキッと高鳴る。
「う、うん!切ったの、今日!!」
廉くんがボブが好きって言うから。
廉くんにちょっとでも可愛いって思ってほしいから。
全部、廉くんのために切ったんだよ。
…………なんて言えるはずもないけど。