無意確認生命体
「わ……。床びちょびちょ」

「ん? ああ。そりゃ雨やんだの昼前だからなー。やんだっても晴れたわけでもないし」

「コレ、上靴で出ちゃっていいのかな?」

「んー。オレは履き替えたことないけど。雌舞希は変なコト気にするんだな」

「だって……、靴下とか濡れちゃわない?」

「平気だって。水たまりんトコばっか選んで踏んだりしなきゃな。……何だ? 雌舞希って小学校なんかでも、校舎からちょっと出るたびに靴履き替えたりしてたのか?」

「うん。……え? それって、変なの?」

「うーん。みんながそうかはわからんけど。オレとかハルミは、朝履き替えたら、学校ではずっと上履きのまんまだったなー」

「え! だって、それじゃ校庭とか出るとき、どうするの?」

「ああ。だから、そん時だけだな。中庭とか花壇とか行くときは、普通に上履きだったぞ」

「でも、それだと靴の裏に土とか付くんじゃない?」

「付くな」

「校舎戻ったら、床汚れるじゃん」

「だから毎日掃除するんだろ?」

「あ、そっか……」

「謎が解けたか?」

「うん。……そっか。なるほどね。今まで掃除の時に土が落ちてるのは、外靴のまま校舎に入ってるヒトがいるからだって思ってたけど、実際は逆だったんだね。盲点だった」

「あー。そのパターンもあるんじゃないの?」

「え、そうなの? ……う~ん……、なんでそんなコトするの? だって、ゴミ増やしちゃったら、掃除するときめんどくさいだけだよ?」

「んー。じゃあ、だからって、わざわざ今から外履き取ってくる方がめんどくさいだろ?」

「……そりゃそうだけどさ。でも屋上は土なんて付かないじゃん」

「あー、そんじゃあれだ。さっきの雌舞希といっしょ」

「え?」

「そこまで考えてなかった、だ。ほれ、しょうもないこと言ってないで、さっさとこっち来い。いつまでそこで突っ立ってんだ? 一応、ココには秘密で入ってんだぞ。扉、開けっ放しにしてんの見つかったらマズイだろ」

「あ。そうだね。あはは。勝手にこんなトコ入ってて、そんな話、それこそ今更だった」

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