無意確認生命体

「ねぇ、志田は休みの日って、学校来るのいっつもこれくらいなの?」

「んー……、今日はちょっと早いかな。でも、まー大体こんなもん」

「ふぅん……。私、休日の部活は午前中からやるもんなんだって思ってた」

「ん? そんな決まりあんの? そんなの先人どもは教えてくれんかったけどな」

「さぁ……? 決まりかどうか知らないけど、テニス部はそうだったよ」

「ぷ。ははは。そりゃ、運動部とうちは違うって。ああ、なるほど。それで10時なんかに来たんか? うちの場合は面倒見んのが花壇だろ? 一日にやれることが決まってるから、いつ来たって変わんないんだよ。1時間もありゃ終わる仕事だしな」

「あ、そっか」

「あははは! なんか雌舞希、さっきからそればっか。なぁ、めし食おうよ。昼、まだだろ?」

「え? ……うん。まだ」

「よし。そんじゃパンかおにぎり、どっちか好きな方選べ」

「うそ。……どうしよ。私、お金持ってきてないよ」

「んあ?いいよ、そんなの。こないだ、あんだけパンおごらせといて、今更遠慮すんな」

「あ……あれ、私は止めたんだよ! でも美智、私の言うことなんか聞いてくれなかったし」

「ん? 別に責めてるワケじゃないぞ。あん時は確かに無理矢理だったけど、今日はオレから率先しておごるって言ってんだ。そんなの気にせず選ぶといいさ」

「ご、ごめんね。それじゃあ、うん。パンひとつ、もらうよ。……ありがと。いただきます」

「ん。座って食うか?」

「へ? 座ったら濡れるよ?」

「部室ん中に予備のブルーシートがある。それ敷けば濡れない」

「うわ。見かけによらず、多機能なんだね。部室」

「おうよ。ああ見えても、今まで雨風に負けたことはないんだぞ」

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