海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「じゃあ…お互い頑張ろうね。」


私にはもう、それしか言えなかった。

この言葉以外に、なんて声をかければ良かったんだろう。


「そうだね。」


琴美はそう答えたけれど、本当はどんな気持ちだったんだろう。

私と同じような想いを抱えていたのかな…。


「じゃあ、また学校でね。これからも仲良くしようね。」



『そんなの無理かもしれない。』

私はそう思いながらも、


『もしかしたら、友情は壊れないかもしれない。』

という、僅かな望みに賭けていた。


本当に、願わずにはいられなかったんだ―…



「うん、そうだね。」

最後に琴美がそう答えた後、


「じゃあ、またね。」

そう言って、私達は電話を切った。



けれど翌日…


顔を合わせた途端、お互いに気まずい表情になって、一言も言葉を交わせなかった。


琴美とつるんでいるちひろとみゆきも、当然のように私に対して冷たい視線を向けていて、結局、その後も琴美達と話す事は一度もなかった。


私は友情よりも恋を選んで、

大切な友達をいっぺんに3人も失った―…


この選択は正しかったのかな。


琴美に電話をした私が間違いだったのかな。


その答えは未だに見つからないけれど、こうなった以上、私は突き進むしかなかったんだ。



恋によって壊れた友情が二度と修復出来ないのなら、

私にはもう、相葉先生しかいないのだから―…
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