海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
いくつもの授業を『早く終わって欲しい』と願いながら、この日一日の全授業を終えた放課後、私は瑞穂と一緒にパソコン教室の準備室へと直行した。


スーハー…スーハー…


深呼吸をして落ち着こうとするのだけど、意識し過ぎているのか全く落ち着けない。


「ちょっと、さっきから何回深呼吸してるのぉ?」


ついに見兼ねた瑞穂が笑いながら突っ込んだ。


「なんか妙に緊張しちゃって。普通に渡せばいいんだろうけど、もし迷惑がられたらどうしよう!」


悪い事ばかりを想像して俯く私に


「大丈夫だって!普通に「はいっ!」って渡せばいいんだよ!」


そう言って、瑞穂はポイッと口の中にキャンディーを入れた。


そういう瑞穂だって、もしも自分が私の立場だったなら、きっと今の私以上にドキドキして

「緊張するー!」

…って連呼するんだろうな。


そう思うとなんだか少し可笑しくて、ちょっとだけ笑ってしまった。


パソコン教室の入り口の前に到着すると、


「どうする?私、外で待ってようか?」


と、瑞穂が気を遣って問い掛けてきた、そんな時だった。


先に来ていたらしい、3年生の先輩が二人でパソコン教室から出てきた。


そして私とすれ違いざま、


「またあの女だよ。」

「いつも来るよね、アイツ。」


そんな言葉が聞こえてきた。


私の事を、まるで嫌なモノでも見るような目で見ながら放った言葉だった。


鈍感な私でも、間違いなく自分に向けて言ったんだと感じていた。


そんな様子を黙って見ていた瑞穂は、

「さく、最近ああいう事よくあるの?」

と、問い掛けた。
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