海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
思えば、あの雨の日からずっとそうだった気がする。
相葉先生の気持ちが掴めたかと思うと、
するりと指の間からすり抜けてしまったような感じがしていた。
先生の言葉と態度はちくはぐで、本当の気持ちがいつも見えなかった。
今は、自分の本心さえ見えなくなってしまった。
色んな事の積み重ねで、今の私がどうするべきかも、どうしたいのかも、何もかもが分からなくなってしまった。
いつもの私だったら明日には謝って、ギクシャクしないように戻ろうとするだろう。
「先生!」
そうやって笑いかけられるように、戻りたいと願うんだ。
だけど、
『このまま相葉先生から離れるべきなのかもしれない。』
そんな気持ちが芽生え始めていた。
「もう分かんないよ…。」
ぎゅっと固く目を瞑ったのとほぼ同時に、
またバレンタインデーの夜に見た光景と、
今日の相葉先生の表情が浮かんだ。
今まで見た事もない、悲しげな表情だった。
「さくー、ごはんはー!?」
階段の下から、母の私を呼ぶ声が聞こえる。
一体、どれだけの時間をこの状態で過ごしていたのだろうか。
「ごめん、いらない。」
申し訳ないと思いながら、ドア越しでも母に聞こえる位の大きな声で返事をした。
バタン、とリビングのドアが閉まる音が聞こえたのは、母が戻っていったからだろう。
私の返事を聞いて、
『どこかで食べてきたのかもしれない。』
と、思ったのかもしれない。
私はおもむろにベッドから起き上がると、制服を脱いでハンガーにかけた。
傍に置いてあった部屋着に着替えると、冷たいベッドに潜り込む。
ひんやりとしたシーツの冷たさが、私を冷静にさせてくれる気がした。
私は不安定に揺れ動く自分の気持ちに悶々としながら、現実から逃げるように眠りについた。
相葉先生の気持ちが掴めたかと思うと、
するりと指の間からすり抜けてしまったような感じがしていた。
先生の言葉と態度はちくはぐで、本当の気持ちがいつも見えなかった。
今は、自分の本心さえ見えなくなってしまった。
色んな事の積み重ねで、今の私がどうするべきかも、どうしたいのかも、何もかもが分からなくなってしまった。
いつもの私だったら明日には謝って、ギクシャクしないように戻ろうとするだろう。
「先生!」
そうやって笑いかけられるように、戻りたいと願うんだ。
だけど、
『このまま相葉先生から離れるべきなのかもしれない。』
そんな気持ちが芽生え始めていた。
「もう分かんないよ…。」
ぎゅっと固く目を瞑ったのとほぼ同時に、
またバレンタインデーの夜に見た光景と、
今日の相葉先生の表情が浮かんだ。
今まで見た事もない、悲しげな表情だった。
「さくー、ごはんはー!?」
階段の下から、母の私を呼ぶ声が聞こえる。
一体、どれだけの時間をこの状態で過ごしていたのだろうか。
「ごめん、いらない。」
申し訳ないと思いながら、ドア越しでも母に聞こえる位の大きな声で返事をした。
バタン、とリビングのドアが閉まる音が聞こえたのは、母が戻っていったからだろう。
私の返事を聞いて、
『どこかで食べてきたのかもしれない。』
と、思ったのかもしれない。
私はおもむろにベッドから起き上がると、制服を脱いでハンガーにかけた。
傍に置いてあった部屋着に着替えると、冷たいベッドに潜り込む。
ひんやりとしたシーツの冷たさが、私を冷静にさせてくれる気がした。
私は不安定に揺れ動く自分の気持ちに悶々としながら、現実から逃げるように眠りについた。