海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
翌日は、相葉先生に謝りたいって思う気持ちがありながらも、


結局謝れないまま一日が終わった。



正確に言うと、謝れなかったのではなく、


謝るどころか、話したくなかったっていうのが私の本音。



相葉先生の授業があったけれど話す事は無かったし、目すら合わせられなかった。


廊下ですれ違う時も同じで、“相葉先生”と分かった途端に、私は先生から目を逸らしてしまった。



私は完全に、相葉先生を避けていた―…



瑞穂と梢は、私を無理に相葉先生の所に行かせようとはせず、


ただ、ただ、私の事を見守っていてくれた。



そうやって次の日も、次の日も、相葉先生と話す事も何もなく…。


私だけかもしれないけれど、とてもギクシャクした日々を過ごしている気がした…。



相葉先生はこれを“喧嘩”だなんて思っていないだろうけれど、


これを“喧嘩”とするならば、時間が経てば経つほど溝は広がり、修復も難しくなっていく。



それを、一日が終わる度に感じていた。


時間が経てば経つほど、


『もう、前のように話せないんじゃないか。』


そんな風に不安になって、


不安を感じる事によって、自分の気持ちを再認識させられた。



『相葉先生が好き』


その想いは何が起きても、


どんなに傷ついても変わる事無く。


どうしようもない程、相葉先生が好きなんだと思った…。



だけど…


そうやって自分の気持ちを再確認し、


『相葉先生に謝りたい』

『謝らなくちゃ』


そう思った時には、


既に、卒業式が数日後に迫っていた…。
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