海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「先生、結婚おめでとう。」


私は泣きながらも、笑顔で祝福の言葉を口にした。


ようやく言えたその一言だったけれど、


笑顔になっていなくちゃ、泣いている事が先生にバレてしまうような気がした。



「…ありがとう…。」


相葉先生は、ひっそりとした声でそう答えた。



祝福の言葉を伝えた私の心は、いつまでも揺れている。


本当に先生が結婚するという事実を認めたくない気持ちと、


心から祝福してあげる事が相葉先生の為だという、嫌になるくらい理解できている事。



その二つが、いつまでも揺れていた―…



もし、この時の私を近くで見ていた人がいたら、一体どう思っただろう。


顔をクシャクシャにして号泣しているのに、笑おうとしている女の子。


きっとひどい顔をしていたに違いない。



明るく振舞おうとしている内に、自分が言いたい事がだんだん分からなくなってきて、そんな心の動揺が私を饒舌にさせた。



「先生、きっと後悔するんだから。」

笑顔で泣いている私の言葉で、


「えっ?」

と、相葉先生が聞き返した。



「なんでだよ…。」

「だって…。」


私は一呼吸ついてから、


「だって、こんなに若くて可愛い私が先生の事大好きなのに、他の人と結婚しちゃうんだもーん。」


あくまでも冗談っぽく、笑いながら言ったこの一言は、私にとって精一杯の強がりだった。
< 303 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop