海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
相葉先生は「あぁ…」と言いながら、クスッと小さく笑った。


「もし次に会う事があったら、その時は先生がビックリする位、綺麗になってるんだからね!」


そんな私の一言に、


「…どうかなぁ?」

そう言って、先生はまた小さく笑った。


全く心に無い事を言っているわけではないけれど、この電話が相葉先生との最後だと思ったからこそ、言える事だった。



「先生?」

ふざけるのをやめて、私が先生に呼びかけると、


「うん?」

相葉先生の、そんな穏やかな返事を聞いて、私は一旦呼吸を整えた。



“これが先生との最後”


そう思えば思う程、今にも声を上げて泣き出しそうになってたから―…



でも、乗り越えなくちゃいけない。


乗り越えなくては―…




「…先生、幸せになってね。」


そう言った途端、涙がいくつもいくつも零れ落ちた。


ここに来てから、数え切れない程の涙が頬を伝っただろう。



「絶対、絶対、幸せになってね。」



“幸せになってほしい”


その思いに嘘はない。


幸せになって欲しいと、心から思っていた。


出来る事なら、先生と一緒に幸せになりたかった―…




涙は止まらず、むしろ先程よりもひどく泣けてきて、


堪えきれなくなった私は少しだけ鼻をすすったけれど、ごまかすようにまた小さく笑い、もう一度繰り返した。


「先生、幸せになってね。絶対幸せになってね。約束だよ…?」


最後の方は完全に涙声になってたような気がする。


相葉先生は私の様子を察したのだろう。



「ありがとう…河原も幸せになれ…。」


そう、先生の静かな返事が聞こえた。



「…はい…。」



私は消えてなくなりそうな程、小さな声で返事をした。
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