海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「…前に榊が言ってた“いじめられてる”って、こういう事なのか?」


相葉先生は、前に瑞穂と一緒にシュークリームを渡しに行った時に

“最近さくが先輩にイジメられてるみたいだから頼むね”

瑞穂がそう言っていた事を覚えていたのだろう。


「…うん。」


私は言い掛かりをつけられた自分がとっても格好悪く思えたし、居心地の悪さも感じていた。


それに、

『相葉先生にまで嫌な思いをさせてしまったんじゃないか。』

とも思っていた。


「でも、こんな風に呼び止められたのは初めてなんです。だから大丈夫です。本当に!」


私は明るく振舞っていたけれど、私を見つめる相葉先生は真っ直ぐな眼差しで真意を伺うように見つめていた。


私はその視線に耐えられなくて、


「本当に大丈夫ですから!でも先生が来てくれて助かっちゃった。本当にありがとうございました。何から何まで、ホントすみません!」


そう、一気にまくし立てるように言うとペコッと礼をした。


「…あんまり無理するなよ。」


そう言って、クシャっと私の頭を撫でた相葉先生の手は温かくて、

ソロソロと見上げた先にあった相葉先生の表情は、なんだか少しだけ悲しげに感じた。


あんな出来事を相葉先生に見せてはいけなかったのだと、私は後悔しながら、


「無理なんかしていません。私は何も悪い事なんてしていないもん。」

そう言って笑った。


これは本心であり、事実だ。


「だから私は平気。」

念を押すように私が言うと、


「そうか。けど、何かあったら相談していいんだからな?」

そう言って相葉先生は微笑みながら、ゆっくりと私と一緒に歩き始めた。
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