To be alive again
10年独身で働いてんだから、金くらいあるに決まってるだろう?と言い放つ真一郎に、翠はもはや太刀打ちできなかった。
なんて無駄な抵抗だったんだろう。
「なんか…」
「なに?」
「頭パンクしそう」
翠が真一郎の胸に頬を摺り寄せると、応える様に抱きしめてくれる腕に力が篭る。
「お前、普段どんだけ頭つかってないんだ」
そういう意味じゃないもん、と頬を膨らませたけれど。
上から降ってくる声は笑みを含んでいて優しくて、真一郎の胸は温かくて、心地いい。
自分の左手のを見てみるけれど、まだそこにリングのあるところは想像できなかった。
今はまだ、二人の時間がたくさん欲しい。
だんだんと見えてくる未来に、まだしばらくは、未来のままで居て欲しい。
大好きな人の腕の中でそんな事を思った、土曜日の朝。
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+ 今はまだ未来のままで + end
