To be alive again
「今日は出かけるぞ」
珍しくそういった真一郎を見上げると、呆れたような笑みが返ってきた。
「いつまでも実感なさそうな顔してっから、指輪買ってやるよ」
え?指輪?と翠はたじろいでしまう。
この流れで指輪ということは…ただのファッションリングではなく、婚約指輪?
それは嬉しくないわけではなかったけれど、嬉しいと言う気持ちよりも、恥ずかしいの方が大きかった。
「い、いいよ…」
「なんで?」
何で、と言われても…と頭のなかで理由を探す。
「あ、ほら!私、普段アクセサリーつけないし…」
「あれは別に普段つけるモンじゃないぞ。
結婚式とかそういうときに使えるから持っときな」
なんであなたそんなこと知ってるんですか?と言いたかったけど、飲み込んだ。
「でもでも、これからお引越しもするでしょ?
いろいろお金かかりそうだし…」
そこに指輪まで上乗せしたくない、というのは素直な気持ちでもあった。
だって、婚約指輪は給料三か月分とか言うし…。
翠はついこの間服で散財したばかりだったし、そもそも結婚資金なんて溜めていたわけでもなかったから、貯金はそんなに無かった。
「貯金あるから余裕」
「…」