Only Three Months
「僕は初め、姫様はどんな人でも使用人のように扱うんだと勝手に思っていました。
　城の中では、何をするにもお手伝いの方がつくと習いましたから。
　僕が姫様のお世話をすることで、身近に王族の暮らしを見れるんだと思っていました」


貴族のざわめきを聞きながら、アリーや王妃、国王に向かって話す。
アリーがそんなことするわけないって貴族は思うんだろうな。


「しかし、姫様は僕やクラスメイトのことを使用人扱いすることなく、同じように生活されていました。
　庶民として自然に見えるように、とても気を遣われていました」


オレの話を黙って聞いてくれているアリーは、目が合うと微笑んでくれる。
それが、オレが話し続けていい自信になる。


「そんなことありえないわ！」
「王族の仕草が簡単に変えられるはずないもの！」


貴族の反発の声。
無視して話し続ける。


「僕は、そんなアリシア姫から、庶民の僕でも王族と仲良く話せると学びました。
　身分差はあるものの、同じ人間だと」

「そんなことあるわけがない！」
「落ち着いてください、お父様っ…！」


…何が起こったんだろう。
オレは、咄嗟に動いただけだ。

今のこの一瞬に起こったことを考えてみる。

オレの話に我慢できなくなった国王が立ち上がった。
そんな父親を落ち着かせようと、アリーが手を伸ばす。
それを国王が払って、アリーがバランスを崩して王座から落ちそうになったのを、オレが支えた。

オレが支えてなかったら、アリーは怪我をしていたかもしれない。
今の国王の行動は、ヴィクトリアの貴族にはどう映ったんだろう。
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