Only Three Months
アリーと向かい合って座りながら、日記を開いて。
携帯で“姫失踪事件”と名付けられたこの事件の新しい情報を探す。
誘拐って決まったようなものだけど、軍が誘拐だと認めてないらしい。

特に、何も状況は変わってなくて。
貴族階級への聞き込み調査が続いてる。

庶民が捜査されるのはいつなんだろう。
サーが何か手を打ってくれてるのかは分からないけど、
きっと通例よりは遅れてるんだろう。
そもそも、“姫”が城からいなくなるのが前代未聞だし。


インターホンの鳴る音で、オレの考えは途切れた。
アリーに部屋の奥にいるように頷いて、
チェーンをつけたまま玄関のドアを開けると、
大きな荷物を抱えた男がひとり。


「お届け物です」


チェーンを外して、荷物を受け取る。
段ボールにはアルバートの紋章がある。
サーからの荷物だ。

オレに荷物を送ってくる人なんていないし、
わざわざアルバートの紋章をつけて送る人もいない。
だから、開けなくてもサーからの荷物だって分かった。

ベットの横まで運んで、荷物を開ける。
衣類とかばん、何が入っているのか分からない黒い袋と箱を出した。
底の部分には、手紙らしき物。


「マイク、そしてアリーへ
 生活に必要そうなものを妻が詰めてくれた。
 また何かあれば連絡をくれ」
「これ全部、私の?」
「そうだな」


オレのクローゼットを開ける。
もともとそんなに服を持ってないから、詰めればアリーの分の服も入る。

黒い袋と箱の中身は、オレが見ない方がいいものだと思う。
下着とか生理用品とか、そういうの。
アリーしか見ないスペースも作らないとな。
とりあえずは、この袋と箱のまましまう。

…アリー自身は、気にしないのかもな。
城ではそういうものも男が見れる環境だったんだろうし。

ハンガー、買いに行かないとな。
全部は掛けきれない。
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