ぜんぶ抱きしめて。〜双子の月とキミ〜
「ところで俺はその夢で出番はないの?」
「ああ……想史もいたよ。基本装備は今と一緒。幼なじみで、みんなに人気があって。ただ向こうでは、あの他校のマネさんと付き合ってた」
「ウソだろ!? あの、学校まで押しかけてきた子だろ?」
想史は信じられないといったような顔をしていた。嘘じゃないよ。あんなに楽しそうに手を繋いで歩いていたじゃない。
「しかも私たち朔のことで喧嘩して、想史が私の顔を殴った」
正しくは、平手打ちだけど。
「げっ。俺、サイテー。なんでそんなやつなんだよ。朔って奴の方がよっぽどかっこいいじゃん」
悔しがる想史が可愛くて、少し笑えた。くすくす笑うと、想史はふと真面目な顔に戻る。そのとき不意に、土管の端から明るい光が飛び込んだ。何かと思う暇もなく、ドガアンと轟音が土管の外に響いた。
「きゃあっ!」
思わず想史に抱きつく。ゴロゴロと獣が喉を鳴らすような音が続いている。なんだ、雷か。一瞬真面目に、この世界が崩壊しようとしているのかと思ったよ。
恐怖でドキドキしていると、冷静な想史が話を戻す。
「やだな、そんな世界。俺はどんなことがあっても瑠奈を殴ったりしない。他の女の子と付き合うこともない」
そう言うと、そっと肩を抱かれた。近すぎる距離に胸が高鳴る。