ぜんぶ抱きしめて。〜双子の月とキミ〜


『……無責任なことは言えないけど』

「うん」

『もう一回、ちゃんと向き合いたいと思ってる』

「なんだよそれ。“本当は瑠奈の事好きだった、付き合おう”とかないわけ?」

『だから……今は、無理』


同じ声が話し合ってる。すっごいシュール。じゃなくて。


「想史、もういいよ」


元の世界の想史を困らせたくてごねてるわけじゃない。無理に私のことを恋愛対象にしてほしいとも思わない。本人にハッキリ無理だって言われると、それはそれでへこむけど。


『とにかく、今帰ってこないと、後悔する。もう朔に会えなくて、本当にいいのか?』


どきりと心臓が痛くなる。朔が病院で苦しんでいる姿を想像すると、自分の喉が占められているように苦しい。


『ねえ、瑠奈。私だけど』


突然穂香が乱入してきた。こっちのように携帯をスピーカーにして今までの会話を聞いていたんだろう。


『朔は普段から、瑠奈のこと気にしてたんだよ。ぶっきらぼうに見えて、実は可愛い妹のこと、いつも心配してたんだ』

「え……」


可愛い妹? 誰それ、私?


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