独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます

父たちの仲は改善したとまでは言えないけれど、風向きが変化したのは確かだと思う。

俺たちが幸せそうに笑っていれば、例え少しずつであったとしても、関係は改善していくだろう。

遼がかけてくれた言葉に、そうなってくれたらいいなと私は思いを馳せた。


美紀は遼に拒絶されたことがすごくショックだったらしく、心の傷を癒すために、しばらく留学したいと言い出した。

母は、最初は必死に引き留めようとしていたけど、父に好きにしろ言われてしまったことで、ここ最近は自分も美紀について行くことを決め、ふたり分の準備を進めているらしい。

ふたりに関しては、私も父同様、好きにしろという言葉しか出てこない。


喜多さんは、男性に連れて行かれそうになっていたところを職場の仲間に助けてもらい、無事逃げ出すことが出来たそうだ。

あの日は従業員の急な休みが何人か重なってしまい、喜多さんがその穴埋めとしてたまたま駆り出されていたのだ。

偶然だったとしても、あの時喜多さんがいてくれたから私は助かったのだ。本当に喜多さんには感謝しかない。



リップ音を立てながら、私の肌に唇を這わせていた遼が、「そう言えば」と顔をあげた。


「あの日、週刊誌の記者に写真撮られてたっぽい」

「え?」

「二大グループ会社の御曹司と御令嬢、いがみ合う親に立ち向かい貫く純愛、誓った結婚……とかなんとかで、今度俺たちの記事が載るってさ」

「えぇっ!?」



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