変態転入生と私



___ 昨日のこと 。


「 今日から 、このクラスに! 新しい仲間が増えます! みんな仲良くしてやってくれ!よし 、入ってこい! 」

朝のSTで熱血系の私の担任 、落倉庄助 、通称 、しょーちゃんが少し興奮しながら新しい仲間 、つまりは転入生の紹介をしていた 。
はて 、そんな前報告あったかな 、と記憶を辿ってみるけれど一向にその記憶が見つからないため数秒で辿るのをやめた 。我ながら面倒くさがり屋だ 。

ざわつく教室は 、イケメンかな?いや 、可愛い子だろ!と女子は男子を期待して男子は女子を期待していた 。しかし男子の期待は裏切られ 、女子の期待していたなんともイケメンな男子だった 。

一斉に女子 、私を除いては黄色い歓声をあげる 、この男子はアイドルでもあるのか?と疑ってしまうほどにこの教室はとても煩かった 。

「 ねえ!優!あの子イケメン!! 」

興奮気味に私の隣の美夜は叫んだ 。正直耳にキーンとする様な高い声の美夜だから結構耳が痛くなってしまった 。

「 はいはい ! 静まって静まって! 」

しょーちゃんが転入生が困ってるぞ!とみんなを落ち着かせた 、けれど女子はみんなソワソワしたり髪の毛を整えたりと落ち着きがない 、一方男子たちはどんな奴だ?とみんなで転入生を穴が開くほど見つめている 。けれど転入生は 、

「 木村裕也 、よろしく 。」

その一言で終わらせ 、長めの前髪で目を隠した 。

「 お 、うぇ 、とまあ!新しい仲間だ!格好いいからっていって裕也君を困らせんなよ?それじゃ 、お前は ..優の後ろ!あそこだぞ!よしST終わり!はい号令日直! 」

未だにガヤガヤとする教室 、木村裕也は私の後ろまで来て 、何も言わずにストンと椅子に腰を掛けた 。
日直の号令が終わり 、一斉にクラスのみんなは私の後ろに集まり出す 、何故か私も囲まれて 。
私は別に転入生なんてどうでもいい 。どうせなら女子が良かった 。だってその方が話しやすいしね 。

そしてあっという間に授業が終わりもう既に昼休み 、自分で作ってきたお弁当を広げ 、我ながら上手く可愛く出来たと自分で褒め称える 。声には出さないけど 。

「 あ!卵焼き!もーらいっ! 」

「 ちょっと!私の! 」

美夜は私の楽しみにしておいた甘い卵焼きをペロリと一口で食べてしまった 。女子の食べ物の恨みは凄いんだぞ 、と心の中で呟いて軽く美夜を睨んで見せれば美夜は 、今度あげるからと手を合わせて謝った 、それならいいと私は頷いて 、今日1番に楽しみにしていたデザートの甘い苺を4個 、1個1個味わいながら食べていた 、顔が綻んでいたようで 、美夜は笑いながら写真を撮っていた 、もちろん消してもらったけれど 。
まさか他の人にも写真を撮られていたなんて気付かずに 。

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