難攻不落な彼に口説かれたら
営業トークのような俺の説明に、雪乃は困った顔をして言葉を詰まらせる。

「うっ……経済的な面を指摘されると何も言えなくなる」

「俺の心の平安のためにも前向きに検討してね。でないと、俺痺れを切らして寮の部屋解約してもらうかもしれないよ」

そんな脅し文句をさらっと口にすれば、雪乃はハハッと苦笑した。

「仁なら……〝強行手段〟とか言ってやりそう。でも、私を心配して言ってくれてるんだよね。ありがと」

「心配なのもあるけど、一番の理由は俺が雪乃と一緒にいたいからだよ」

真摯な目でそう告げれば、雪乃は俺を見て少し目を潤ませた。

「うん……ありがと。私……新しい家族と上手くいかなくてひとり暮らし始めたから、人と一緒に住むことに臆病になってたのかも。一緒にいたいって言ってくれて嬉しい」
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