例えば君に恋しても


「おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめの上、もう一度おかけ下さい」

冷たいアナウンスの声が何度も繰り返し耳もとで流れる。


その声をぼんやりと聞きながら

真っ白な頭の中に浮かんだのは、最後に会った日の瑛士さんの笑顔だった。


裏切られたなんて思いたくない

そんなことが起こり得るわけがない。


波のように押し寄せる不安に勢いをつけるように「詐偽・・・だよね?きっと」隣の彼の声が聞こえた。



詐偽?

誰が?

瑛士さんはそんな人じゃない。


彼を振り返ることもせずに黙って立ち上がった私に

「明日もこの時間にここに来るから。相談にのるから」

そんな声が聞こえてきた。


瑛士さんを詐欺師呼ばわりしたこんな奴に相談することなんて何もない。

何も知らないただの通りすがりのくせに。


そんな奴にこんな話をした私も私だけど・・・

返事もせずに逃げるように家路を戻るとすぐに友達や親の顔が浮かんだ。


誰に・・・

なんて相談をすればいいのか


みんなあいつみたいに、わたしを詐偽被害者かのように言うかもしれない不安が押し寄せる。

そんなわけないのに

だって

私たち半年後には結婚・・・するんだよ?


だって

私は世界で一番の幸せ者で

瑛士さんは本当に素敵な人で・・・





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