例えば君に恋しても


頭に浮かぶ瑛士さんの笑顔。


大好きな大好きな瑛士さんの笑顔と私を抱き締める優しい腕の感触を思い出しながら

私自身が彼の事をどこまで知っていたか、頭が勝手に自問自答始める。


彼の生い立ちは?

彼の家族は?

仕事が落ち着いたら一緒に両家に挨拶に行こうと言われてた。

自分から自分の事をあまり語らない人だった。


色んな事を自問自答しながら、瑛士さんを信じるための保証が欲しくて

私はタクシーに乗り込み

そして

更地のど真ん中で途方に暮れていた。



名刺に書かれていた住所には、そんな建物なんかなくて、広がっていたのはただの更地。

何かの間違いだと何度も近辺を歩き回っても

結局、辿り着くのは、何もないこの更地だった。



体に力が入らない。


騙されたなんて信じられない。


信じられないけれど、0を記載した通帳の頁が頭の隅にに浮かぶ。


瑛士さんが、たかだか100万のために私を騙すわけがない。


そんなこと、あり得るわけない。


何度も愛を確認しあってた。


こんなにもフィーリングの合う人は瑛士さん以外いるはずかない。

そう

瑛士さんにとっての私もそうなんだから・・・。


たくさんデートもした。

疲れてる瑛士さんのために、おうちデートが当たり前になっていたけれど、二人で住むマンションを借りたのは1ヶ月前で

着々と、順調に結婚への道を歩いていた。








< 11 / 177 >

この作品をシェア

pagetop