例えば君に恋しても
彼女の圧倒的な存在感に呆けていると「彼女と自分を比べない方がいいよ。」なんて、分かりきった言葉が耳元で聞こえる。
まさか
比べるなんて失礼に値する。
それほど彼女は同性から見ても美しかった。
彼女が屋敷の中に入っていくのを確認して、邦弘と作戦会議。
そして捻り出した作戦は・・・
邦弘が借りてきたメイド服に着替えてメイドのフリをして自然に峯岸さんに近づくという
シンプルな作戦
「バレないかな?」
屋敷の影で着替えを済ませると段々、緊張で体が震えてくる。
「大丈夫!君みたいに目立たない外見の子はこんな時に有利だね!」なんて嬉しくもないフォローに苦笑い。
すると、邦弘の携帯がなった。
・・・こんな時に「電話?」
自分の唇の前で私に向かって人差し指を立てながら電話にでた邦弘の声色はとても楽しそう。
「これから家族会議だって」電話を切った邦弘はいやらしい顔で笑う。
「何がそんなに楽しいのよ・・・」
「これから新一兄さんも、仁兄さんもここへ集まるよ。みんなが揃ってどんな言いあいをするかと思うとわくわくしない?」
「全然しないよ!」
まったく・・・新一さんの声で仁みたいなことを言うのはやめてもらいたい。
「最後まで付き合ってあげたかったけど、僕いかなきゃいけない。
一人で大丈夫だね?」
最初から一人で来るつもりだったんだ。大丈夫・・・峯岸さんに会いさえすれば直ぐに屋敷を出ればいい。
「大丈夫。ありがとう」
「うまくいきますように」
微笑んだ邦弘の唇が一瞬、額にあたった。