例えば君に恋しても


「ちょっと待って、なんかスゲー恐い。

何?えっ?100円?

てか、兄貴のこと馬鹿呼ばわりとかっ・・・」


突然、大声をあげて笑い出した彼に、一瞬、周囲の注目が集まる。


「面白いっ!!何?一体、君は何もの?」

「別に何者でもないわよっ!私は新一さんのただの顔見知りよ。
訳合って彼から部屋を借りてるだけの、ただの一般人!!」


私の言葉に、更にけらけら笑う彼は、勝手に一人で笑って、悶絶して死にかけている。


兄弟揃って変わってる・・・。

きっと、もう私に用はないだろう。

彼を放ってマンションに入ろうとすると、けらけら笑いながらついてくる。


マジでウザい・・・。


人は見かけでは判断できないけれど、ただ、ウザいだけで、ネット情報で知り得た情報と比較すればそれほど、悪い人間でもないかもしれない。

それでも

手首にくっきり残った指の跡。

「部屋まで着いてくる気?」

呆れてため息をついた私に彼はうんうん。と頷いた。

もう

どうとでもなればいい。





彼に部屋を招き入れると、愉快そうに部屋のあちこちを見て回る。

「実家の俺の部屋より狭いなぁ」と、たまに非常識な言葉を交えながら。


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