例えば君に恋しても


翌日、いつものように新一さんはふかふかの自分の椅子に座りながら何やら難しそうな本を眺めている。


この部屋の専属になって、ちょっとずつ色んな事を私も知り始めている。

社長って、マイペースに自由に仕事してるのかな?なんて考えていたけれど、新一さんは誰より先に出勤して、毎日山のように積み重ねられてる書類と睨めっこ。


初めてあの日、私をここに案内してくれたあのイケメンさんが新一さんの秘書で、彼もまた多忙に働いていることが伺える。

一日に数回、この部屋を訪れては、私には一切分からない難しい話をしている。


最後に、専用のスプレーで窓のサンの誇りを払っていつも通り、一時間程度で仕事を終えた私は、業務終了の判子をもらうためにタイムカード代わりの出勤帳簿を彼の机に置いた。

なんせ、これに判子をもらわないと欠勤扱いになってしまう。

「終わりましたので、印鑑ください。」


まだ午前10時を過ぎたばかり。

ここを出たら帰れるなんて甘いことはない。

私の会社の規則で契約時間になるまでは別の場所のヘルプに行くことになっている。

でも、まだ一度も行ったことはないんだけど・・・。


「君は実に優秀だね。君が来てからこの部屋はいつも入居仕立ての頃の部屋のように綺麗だ。」

「散らかりもしない部屋を毎日掃除してるんですから、綺麗さも保たれますよ。

印鑑、押して下さい。」


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