例えば君に恋しても
「だって仕方ないだろ?好きなこの取説なんて本屋にはないんだからさ。」
「だからって動物に置き換えるとか有り得ないっ!!」
「でもけっこう当たってるんだよ!!」
「何が⁉」
「自分で気付いてないの?」
「なんのこと⁉」
「ほらっ」
彼の声に一瞬静まり返った部屋。
ほら。と言われてもよく分からなくて顔だけ振り返ると嬉しそうなその表情が間近にあって、思わず視線を逸らした。
「最初は恐がっていてもスキンシップを上手にすればすぐに大好きな愛犬とも仲良くなれますって書いてあった。」
「・・・誰が誰の愛犬よ」
「でもほら?最初の頃は近くに寄るだけで面白くない顔ばかりしてたくせに」
「今も変わらないと思いますよ?」
「言葉はね。でもほら」
そう言いながら、私の体の向きをひょいと自分の方に変えて
なんて優しい眼差しで見つめてくるんだろう。
そっと、壊れ物を包むように優しく頬に触れる指先に
胸の奥が、平静さを失いそうに高鳴り始める。
まるで、小刻みに段々早くなるメトロノームのように
目があって数秒。捕らわれたように言葉さえ失ってしまった。
「ほらね。
言葉遣いはきついけど、君の僕を映す目が熱っぽくて好きだよ・・・」
熱っぽいっ⁉
見抜かれたような驚きで、咄嗟に離そうとした体を軽々と引き戻される。