例えば君に恋しても
「なんでいつもそう強引なの⁉」
「君のその反応が堪らなく可愛いからだよ。悪いのは僕じゃなく君」
楽しそうに私をからかいながら、腰に回された腕は力強くて振りほどこうにも振りほどけない。
その見た目でどんだけ力があるのよっ・・・
「私・・・あなたのことなんか好きにならないわよ」
「うん。今は認めなくてもいいよ。悔しいけど犬って忠実なんだって。
前の飼い主に傷つけられてもまだ、忠誠が残ってるんだよね?」
「だから、私は犬じゃないっての!!」
「それなら、意地を張らないでよ。」
「意地なんか張ってない・・・」
意地なんかじゃない・・・
きっと
たぶん。
自信なく俯きながら弱々しく答えると
彼も少し困ったように私の頭を優しく撫でながら今度は優しく私を抱き寄せた。
嫌なのに
この温かさが嫌いじゃない。
匂いも
ワイシャツの衿に少しかかった黒髪も
少し日に焼けた首筋が見える。
男らしいフォルム。
嫌いになる理由もないけれど
好きになれない理由はある。
だって
仁のいう通りなら
あなたもきっと・・・私をまた、一人ぽっちにするんでしょ?
それなら
好きにならないほうが楽なのよ・・・。
だから
いつか捨てるつもりなら
好きだなんて言わないで欲しいのに
そう簡単に私を好きだと言えるのは
あなたが本気じゃないからなんだよね・・・?