My.doctor…?
部屋に戻ると
彼女はベッドに横になっていたが
眠ってはいなかった。



「どうかしましたか?」


「…いや、なんでもない」



俺は平然のつもりだ。


だが、妙な気分だ。

変に意識しているのか?


バカな事を考えずに
診察に集中しないと。



モヤモヤした違和感を振り払って
医者モードに切り替える。



「途中だったな。診察を続けるぞ」


「はい」



再び咲桜ちゃんは洋服をお腹辺りまで捲り、俺はいつも通り聴診器を当てる。



あくまで"いつも通り"



「喘鳴はなさそうだ。熱計って」



計測中に問診を始める。



「いつから具合が悪かったんだ?」


「今朝からです…」


「今朝…か」



そういえば昨日
雨に濡れたまましばらくそのままでいさせたな…


それなのに俺はこの娘に…



「先生…大丈夫ですか?」


「え…あ、あぁ。大丈夫だ」



ダメだ。
また余計な事を考えていた。


患者に心配されるなんて
俺は何やってんだ。



「最近ちょっと疲れてたのって、原因ありますか?」


「あぁ。免疫も下がっていたんだろうな」


「そっか…」



ストーカーや柚花の事で
いろいろ精神的に疲れていたんだよな…








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