キラキラmemoriy
「せんせー!」
熊谷がドアを開け、咲籠が声を張った。
「はーい。もぉなにぃー朝から。あたし二日酔いで気持ち悪いんだけどぉー」
扉をあけ、声を張った数秒後にのろのろとカーテンあら顔を除かせたのは、40近いオバサンだった。
白衣をつけてはいるが、教師には見えない。
赤いヒールに、バラの香水。
微かにタバコの臭いが混ざっている。
「オバサンのヤケ酒とか知らねーし。それより、友逢診ろって!!」
「オバサン!?最近の高校生ってお世辞の一つも言えないわけぇー?!……うわぁっ酷い……」
近寄って友逢の傷を見ると、目つきが変わる保険医。
「クラスと名前は?」
「1年4組の友逢です」
「グレーシャ・ディスティニー・友逢ちゃんね?」
「はい」
「そこに座らせて。この子置いたらあんたら出な。」
口調までもが変わり、届人は変な空気を感じる。
それは4人、みんな同じだった。
異様な空気に言葉が出ない。
「レディの生足覗こうなんて100年早いわよ!さぁ、さぁ。あっちいけ、若造!」
生足って、…雰囲気変えた理由ってそこかよ!
届人は友逢をソファに座らせる。
そして、ちらりとスカートから出ている赤い跡を見て、顔を歪ませる。
「そうだ。先生…梶きゅん先生読んできなさい。」
「もう連絡したよ。そしたら今すぐ向かうからって…言ってた。」
「あら、そう。どーも。あんたら、もう教室上がんなさい。」
「でも、…!!」
「心配ない。あたしが治療するっつてんのよ??」
いや、余計に心配だわ。と心でツッコんだ届人は、しぶしぶ部屋を後にする。
「ゆーあ…ごめん」
市川が空気の重さと、友逢への罪悪感に耐えきれず、頭を下げた。
「えっ?!なんで??…運んでくれてありがとう、ちはちゃん。柚ちゃん、くまさん、届人くんも。」
「うん」
「ありがとう」