キラキラmemoriy
「とにかく保健室連れていこ!!」
「了解」
男よりたくましい働きぶりの柚木と市川。
その様子を見て、熊谷が市川の肩にてを置く。
「俺と届人で支える。」
「祐信……軽いから大丈夫さ!」
「そうね…ちー、変わりましょ。この後は坂もあるし、階段もある。保健室はグラウンド超えないと行けないからね。いくらなんでも遠いわ。」
すんなりと届人に友逢を預けた柚木。
見た目より…随分軽かった。
ちゃんと食べてるのかな…
よく考えたら真っ白い肌も、弱々しそうな体を表している。
届人も、柄に合わず心配してるみたいだし…
「ほら、ちーも。うちらは荷物運びましょ。」
「わかった。祐信、カバン。」
「悪い。」
それぞれカバンを預けた2人には友逢mをしっかり支える。
「手、血が出てんじゃん…」
「…えへへ。運動オンチなのかも」
「足を前に出して踏み込んで、後ろに引っ込めてっていうだけなのに。何がむずいんだよ?」
「あはは…わかんない」
頭、花びらだらけだよと友逢の髪から桜を叩くように取る届人。
届人、相当心配してんだな。
確かに、えーと…ゆり…ゆの…ゆ…ゆ…なんとかさん、凄く痛そう。
早く連れていきたいけど、この足じゃ、ゆっくりしか歩けないよな。
「わっ!!」
またコケそうになった友逢を2人がしっかり支える
「持った方がいいんじゃないか?」
熊谷が足を止め、咲籠に話しかける。
「おぶるか??」
「いや、傷が当たる…」
「じゃぁ、お姫様になってもらいますか。」
「担ぐのも有り」
「この軽さならいけるな」
頭上で交わされる会話に耳を傾けながら、友逢は足を前に出して見る。
足は、早くも青くなりかけていた。
もしかしたら、内出血が酷くなるかもしれない。
足をあげるべきか、それとも冷やすべなのか……
「熊、俺は裕に兄に電話入れっからそれまで頼むわ」
「了解。」
届人が、ゆっくり友逢から離れる。
そしてスマホをとると、どこかにかけ、ペラペラろ話し出した。
「えーと…名前、なんだっけ?」
「友逢!だよーくまさんだよね!」
コクリとうなづいた熊谷は友逢の全体重を自分に乗せた。
ふわっと浮いて、お姫様抱っこされる。
「ちょっと我慢して」
「ありがとう、くまさん。」
「…うん。」
「祐信、いいとこあんじゃん。」
市川の声は、しっかり熊谷の耳に届いた。
それににっこり笑う熊谷。
「わりぃ、熊。俺変わる。」
梶先生に電話した咲籠は、少し焦っていた。
普段はウザくてクールな梶先生が、珍しく慌てていたからだ。
授業遅れると電話入れただけなのだが、どうやら友逢のことをそうとう心配しているらしい。
熊谷から咲籠へと移された友逢は、ぎゅっとシャツを握った。
「変わんないね…」
「ん?なに?」
「ありがとうって言ったの!」
「お前の怪我がグロくて心配だからな。」
心配してくれたんだ…
あたしなんかの為に…
「お前っ……そんなに痛むのか?」
急に溢れ出してきた友逢の涙。
それに同様する届人。
「違うよ。」
違うんだ。
この涙は。
痛みとか、そういうもんじゃないの。
君は知らなくていいんだよ。