キラキラmemoriy




その日、自己紹介を終えたあと、体育館で入学式が盛大に行われた。

吹奏楽の生演奏、生徒会長挨拶、催し物としてダンスや歌 、寸劇などが行われた。

入学式を楽しんでいる友逢を後ろから見ていた届人は、少し違和感を覚えた。


次の日から授業が始まった。
と言っても、ほとんど自己紹介だけで終わる。
重い教科書をロッカーに置いたらもう苦労することはない1日だ。

「ねぇ、お昼一緒に食べてもいいかな??」

友逢は、1つ前の席の女の子に声をかけた。

「いいよー!一緒に食べよさ!咲籠と祐信も!」
「莉菜、千暖、同じクラス…嬉しい」

熊谷が近くまで来て言う。

「おうよ!!祐信、今日もおにぎりかよー?」

友逢の前の席は小麦色の焼けた肌、男口調の女の子、市川千暖(いちかわ ちはる)
友だちの化粧バッチリな女の子、柚木莉菜(ゆずき りな)

2人がお弁当を買ってきたところで、きょうで机をくっつける

「じゃぁ、自己紹介するでなー!」

届人と友逢、熊谷と千暖が隣同士、そのグループを見守るように、友逢と千暖の間に莉菜が座る。

千暖は、初々しいこの空気と中学と変わらない、友逢以外のメンバーにホッと頬を緩ませる。

「市川千暖!ちーとかちはとかはるって呼ばれる!」
「あたしは柚木莉菜。柚ってよばれることが多いかな。よろしくね」
「あたしは友逢!」
「えっと、確かーグレーなんちゃら…」

思い出そうとする市川に、友逢がくすっとわらった

「グレーシャ・ディスティニー・友逢だよ」
「ひぇームズ!!」

会話で盛り上がる女子とは逆に、静かな男の子。
柚木はそんな様子をみながらパンをかじる。
確か、朝から熊と咲籠は友逢と喋っていた。
知りあいないだったりするのだろうか。

「ハーフなのか!?」
「ううん。クォーターなの」
「クォーター??」

ハテナがいっぱいの市川に、柚木が解説を入れる。

「クォーターってのはね、ハーフの子供ってこと。要するに、この子の親がハーフってわけ。」
「うちの場合、両親共にハーフだから、こんな名前になっちゃったみたい。」
「スゲーな!!」

明るい2人は意気投合しあっている。
桜の花が咲いている、始まったばかりの4月。

友逢は、笑顔を浮かべている。




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