うつりというもの
「うつりが結界を出たということは、他のところも?」

住職が教授を見た。

「多分、最初に結界がダメになったのは宋律寺です。そちらは、今、警察の方が行っています」

「警察が?」

住職が少し驚いた。

「まあ、有り得ぬモノを見た二人だけですけど」

「なるほど…」

住職は、そうかというように呟いた。


「とりあえず、これから私達は、道空寺にも行ってみますので」

「あ、いや。それは私が今連絡してみますから。それよりも、あなた方が調べた事をお聞かせ願いたい」

「そうですか。では、私達にもいろいろ教えていただけるとありがたいです」

「わかりました。ちょっとお待ちください。道空寺に連絡してきますので」

「あ、それなら、鶴円寺の方もお願いできますか?」

「わかりました」

住職は軽く頭を下げると庫裏の方に行った。


「遥香君、赤井さんに鶴円寺は行かなくていいと伝えてもらえるか」

「はい」

遥香は赤井に電話した。

宋律寺の状況を聞き、そして鶴円寺には行かなくていいと伝えた。

こちらの状況を話すと、こっちに来るとのことだった。
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