甘え下手の『・・・』
心の中で一人格闘しながら20分ほどたったころ、待ち人からメールの着信がなった。

『悪い、遅くなった。今どこ?』

文字なのに心が熱くなる。

『お疲れ様。大丈夫だよ。休憩スペースにいます』

返信をすると大きく深呼吸して姿勢を正した。
もうすぐ筧くんが来る。ドキドキが強くなって苦しくなる。もう一度深呼吸し立ち上がり、出口の方へ体の向きを変えた。

「相沢」

同時に低い声が私の名前を呼んだ。心臓が跳ねた。

「お疲れ。悪い、待たせたな?」

私に一歩一歩近づくその姿をボーッと見つめていたら

「相沢?どうした?」

近くまできて顔を覗きこまれようやく我にかえった。

「ううん!大丈夫。お疲れ様!」

焦って必要以上に声が大きくなり自分でびっくりしてしまった。

「元気だな。じゃ行くか」

フッと笑った筧くんは私の背中を軽くたたき誘導する。彼の隣にたち歩き出すとその手が離れていった。それがなんだかとても寂しく感じた。

< 21 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop