君の向こうのココロ

「み、見なかった事にできるか～？」


「私は、いつもできますよ。受け流すくらい。」


理緒のその言葉を聞いて、いつも人に対してドライなのはそのせいだったのかと、感心してしまった。


ピピッピピッ


ケータイ電池切れの音が鳴る。


「理緒。キレちゃうかも…。」


プッと理緒が吹き出した。


「神村のケータイだけにって？」


神村の逆キレとケータイ電池切れをかけたらしい。


うまい！


ぷっくっくっくっ


僕はケータイを片手に堪え切れず笑ってしまった。


こんな時に不謹慎ではあるが…。


「はい。充電器。」


なんとかケータイは息を繋いで、僕たちの手の中に収まってる。


「何から見る？」


「アドレス帳かな…。」


…


「オッケー。」


アドレス帳を見ていて「ま」のリストで指が止まる…


沙空の名前…あった。


「松浦 沙空…入ってるわ…」


僕のその言葉に理緒は何も言わなかった。


「メール見ていいかな…」


「大丈夫？見て…。」


理緒は僕の事が心配という顔で覗きこんでくる。


「大丈夫よ！終わってる事だから。」