君の向こうのココロ
僕はそういってメールフォルダを開いた。


フォルダには


「りお」


「恵子〔ハート〕」


と、あってその下に


「沙空」


と、登録してあった。


沙空フォルダが存在してる…。


「沙空さんと神村が…。」


「これさ、中見たらまずいか?」


「見なかった事にして見るんでしょ。」


理緒が言う。


「私見るよ?どうする?」


大丈夫かよ…。このケータイはパンドラの箱だよ。


「もう、なんにも動じないから。」


理緒はそう言って笑って見せた。


その笑顔は僕には痛々しかった。


ケータイをいじってて時折、息を飲んでいる。


指は止まらない。


そして僕の顔を見た。


「沙空さん…。神村としてるよぉ…。」


理緒は目に涙を溜めて、つぶやいた…。


Hしてたか…。


想像ついたよ。


「先輩…ここ、今年の4月のメール…。」


そう言って理緒が見せたのは、一つのお誘いメールだった。


―今度の日曜日、お出かけしませんか?お返事まってます。


沙空からのメールだった。


なんだ、そういうことか…。

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