君の向こうのココロ
「いますぐにでも飛び出したいもん。」


「だよ~。僕がその立場なら三下り半だ。」


「投資…あと半年すれば、新生活のスタートをきれるんです。順調にいけばね。」


「本当に…。」


「それでお金工面して離婚します。」


離婚…決めたのか?


「神村は知ってるの?」


「ううん。言ってない。言う訳ないじゃん。私の話は聞く耳持たないと思うから、静かに出て行く。」


理緒は落ち着いていた。


「本当に離婚して正しい選択だと思う?」


僕はココロにもないことを聞いていた。


「正しいかどうかは動いてみないとわかんないよ!!」


理緒が初めて強くそう言った。


僕に怒りの感情をあらわにして理緒は言った。


ここまで耐えて来たんだ、強い女性だよ。


僕はこんなに強いだろうか…。


「もうしばらく無理だけどね。」


「投資が軌道に乗るまで見守るよ。」


僕は、ココロが寂しくなりながらそう返してた。


自分で見守るといいながら、いつの間にか理緒をどうにかしたいって思ってた。


それじゃまるであいつと一緒じゃないか…


あいつが自分勝手に人を奪うのと一緒じゃないか…。
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