【完】螺旋のように想いを告げて

 甘かった。
 そんな契約なんて形で切り抜けられるなら代償とは言えない。



 俺は咲良に想いを告げてしまったんだ。



 これから確実にやってくる咲良の死を覚悟しなければならない。
 もう一度、あの苦しい想いをしなければならない。



 でも、大丈夫だ。今なら。




「不合格、なんだろ? だったら、ちゃんと言葉で伝えていいだろ? 好きだって伝えてから終わりたい」




 姫巫女が微笑んでいる。清々しいまでの笑顔は、終わりを予感させる。



 俺は姫巫女の条件の下に戦い、負けた――――。




「姫巫女さん。あんたって、何なんだ? ちっとも理解出来ない。願いを叶えて代償決めて。娯楽にしては悪趣味だ」

「人間はすぐに理由を探す。不可解なものを嫌い、理由付けすることで安心する生き物。ワラワにはそっちの方が理解出来ぬ」

「ま、そうかもな」

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