【完】螺旋のように想いを告げて
「亮!!」
勢い良く開けられたドアと声に、俺は現実に引き戻される。
「いい加減に起きて! 学校、遅刻するよ!」
まだ寝ていたい。久しぶりにあの日の咲良が夢に出たんだ。まだ余韻に浸っていたい。
「コラ! 二度寝禁止!!」
「うるさいな」
「その姿、生徒たちに見せてあげようか?」
「う……」
「おはようございます、亮」
咲良と2人暮らしを始めたのは、付き合い始めてすぐだ。
小さなアパートで、実家からは少し離れてしまったけれど毎日充実している。
「早くして。今日、会議だから準備があるの!」
咲良は何とか就職出来た。
小さな会社の事務員だが、やはりムードメーカーとなってみんなを引っ張っているみたいだ。
それから俺は……。