【完】螺旋のように想いを告げて
「まだ信じられない。亮が高校教師とか」
「もう半年経つんだ。そろそろ慣れてくれよ」
「無理!」
俺は大学で資格を取り、難しい試験にもパスした。
高校教師を目指した理由は、やっぱり咲良との思い出を引きずっていたからかもしれない。
地元に数週間帰ってきていたのは、教育実習という面倒なことをしに母校へ通っていた。
その甲斐あってか、自分でも驚くほど似合わない高校教師になれたわけだけれど。
「遅刻は厳禁! 生徒に示しがつかないでしょ!?」
いつになっても朝は苦手だ。
新任だけに、朝はかなり早起きしなきゃならないのがキツイ。
咲良がいなかったら、教師なんて続かなかったと思う。
赴任先の近くにアパートを借りて、咲良の会社も電車で十五分と近い。
お互いにちょうど良い環境。本当に近くて助かっている。