Dance in the rain

静かな口調が、あたしの緊張をときほぐす。
温かな腕の中で、ゆるゆるって、身体の力が抜けていく。

「……大丈夫だった? あの後」
怖々聞くと、翔也は安心させるように笑った。
「平気。もともと動画は今日撮る予定じゃなかったしな」

なんだか今日は翔也、おかしいよ。
そんなに優しくしないで。

おかしくなる。
必死に止めていたものが、目を背けていたものが、あふれ出す——


「あの、振り付け用の、VTR……あれ、あの、曲っ……」

ひくっひくっって、ひきつけ起こしたみたいに震えだした体を、
翔也はまた、ギュッて抱きしめてくれて。
「無理して話さなくてもいいんだぞ?」って、ささやく。

あたしは、その広い肩に頬を押し付けるようにして首を振った。
「大丈夫。大丈夫、だから……」

大きく、息を吐く。
吸って、また吐いて。

「聞いて……くれる? あたしが、踊れなくなった理由」

「いいのか?」

「うん……誰かに、聞いてほしかったから」
ずっとずっと。
あたしは探してたのかもしれない。
抱え込んだこの闇を、受け止めてくれる人を。

そしてあたしは、話し始めた。
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