Dance in the rain

乾いた唇を舐めて、最後の言葉を吐きだした。

「彼女がオーディションで使ったのが……さっきのVTRの曲だった」

スティーブ・ライヒ、『砂漠の音楽』——


全部吐きだしたせいかな。
呼吸は、もうだいぶ静かになってた。

大丈夫。
あたしは、大丈夫だ。

これ以上、めんどくさい女だって思われたくないから。

大丈夫。大丈夫。
心の中で何度か唱えて。

「以上、告白終わり! あーすっきりした! 聞いてくれてありがとね」って無理やり明るく言って、身体を起こそうとした。

でも、
離れようとしたあたしを、翔也の腕がからめとった。
そのまま、引き寄せられて。

ぶつかるみたいに倒れこんで。
あたしは翔也の腕の中に、再び囲い込まれた。

「しょ、翔也……?」
「悔しかったか?」

息が、止まった。
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