Dance in the rain
愕然とした。
今までかけてきた時間は、一体何だったんだろうって。
遊びにも行かず、恋も知らず、
自分の全部をダンスだけに賭けてきたのに。
全部無駄だったんだって。
どんなに努力したって、あたしは、天才にはかなわない。
天才には、なれないんだって。
そして。
彼女はたった1回受けたオーディションに、受かった。
それは、あたしがあこがれ続けたカンパニーだった。
それからあたしは、踊れなくなった。
踊ろうとするといつも、彼女の踊りがちらついた。
彼女だったらどう舞うだろう。
彼女だったらどう飛ぶだろう。
もう、そこにあたしはいなくて。
ただ彼女の影を追う、惨めなコピーキャットがいるだけで。
だから。
あたしは、逃げたの。全部捨てて、逃げてきたの」