Dance in the rain
「理由は、あの子? さっきの」
どきっと心臓がジャンプする。
それって……あたしの、こと?
「ずいぶん、今までとは違う雰囲気の子ね」
翔也の『今まで』——
胸がざわざわって、不快な不協和音にきしむ。
「別に。あいつはそういうんじゃなくて……野良猫拾ったみたいなもので」
「ふぅん?」て、潤子さんは優雅に首を傾げて。
「まあいいわ」って立ちあがった。
「ねえ翔也。もう、あなたの前に道はできているのよ? あとはあなたのやる気次第なの」
ふっと。
小さく翔也が笑ってつぶやく。
「やる気……ね」
陰のある、切ない微笑み……
その表情は、なぜか、初めて出会ったあの雨の日の翔也と、オーバーラップした。
「私は、あなたをイチモデルで終わらせる気はないわ」
潤子さんは、翔也へと歩み寄っていく。
「今日はあなたに提案があるの」
「……提案?」
2人のシルエットが近づき、そして、重なる——
「あなたにとって、悪くない話よ」
あたしの位置からは、まるで2人が抱き合っているように見えて……。
夢中で廊下を駆け戻っていた。